パン屋の製造職は、きつい・大変というイメージがありますが、たしかにきついです。
でも、パンが好きで、
- 「将来パン屋を開きたい!」
- 「パン教室を開きたい!」
- 「作れるパンの幅を広げたい!」
など夢があるのなら、できればスキルアップしながら、長く働きやすい職場で技術を身に着けたいですよね?
そんな方には、最低限の働く環境が整っており、かつ技術的にも学ぶ機会が多いホテルベーカリーの製造職がおすすめです。
特に、最初の勤務先として選ぶには最適!
本記事では、ホテルベーカリーに5年の勤務経験があるわたしが、なぜホテルベーカリーが、リテールベーカリーや個人店よりも、働き先としておすすめなのかを、解説してます。
ちなみにわたしは、個人店やリテールベーカリーでも勤務経験があるので、ホテルベーカリーならではの、
- 良いところ・メリット
- きついところ・デメリット
そして - ホテルベーカリーで働くには?
といった内容もあわせてご紹介しています。
正社員としてパンの製造職で、スキルアップしつつ、長く働きたいという方向けの内容となっています。
それでは、さっそく見ていきましょう!
ホテルベーカリーってどんな職場?
パン職人・パンの製造職としての働き口は、リテールベーカリー、個人店、工場、レストラン、ウェディング施設、ホテルベーカリー等がありますが、中でもホテルベーカリーは、最初の勤務先として特におすすめです。
ホテルベーカリーは、その名の通り、ホテル専属のベーカリーキッチンで、ホテル内で提供するパンを製造します。
具体的な提供先としては、ホテルのお土産ショップやレストラン、ルームサービス、カフェ等です。
祭事がある場合は、祭事用のパンを作ることもありますし、他店向けの卸のパンを製造することもあります。ここは、勤務先によってまちまちです。
基本的には、裏方業なので、お客様から見えないキッチンで働く場合が多いです。
コックさんはオープンキッチンで働くことが多いですが、ホテルのパン職人は表に出ることは、あまりありません。
1日の流れ(夜勤あり)
あくまでも、私が勤務していたホテルのシフトですが、参考までに1日の流れをご紹介します。
1日の流れについては、その日のポジションによって、内容が異なりますが、1例として、仕込み、折り込み、窯ポジションの1日をご紹介しています。
パン屋のポジションは基本的に、仕込み、成形、窯、折り込み、補助・仕上げで業務分担されています
また、ホテルはご存じの通り、ルームサービスもあり、朝食からディナーまでの通し営業で、1日稼働しています。
そのため、ベーカリーも稼働時間が長くなり、ホテルではシフトは早番(夜勤)と遅番でまわしています。
リテールベーカリーでも、営業時間が長いパン屋は、早番(早朝)・遅番のシフト制になりますが、夜勤があるところは稀ですね。
★遅番シフトの1日
(仕込みの場合)
06:00 出勤
仕込み表にそって作業開始。
当日中に焼き上げたいパン、
発酵時間が長いパン、
急ぎの生地を中心に、
優先順位を決めて仕込む。
💡仕込む順番と時間は大体決まっていますが、土日など量が多い場合や、普段と違う生地を仕込む場合は、他のポジションの人と相談しながら決めます。
12:00 お昼休憩
💡ホテルの場合は、リテールベーカリーと違い、お昼までにはパンを焼き上げており、その後の対応はサービススタッフが行うので、お昼のピーク時は特に忙しくない。
13:00 翌日の朝食用のパン生地の
仕込みや材料の計量、
翌日の仕込み表の作成等
カスタードやキャラメルを
炊く、コンポートを作る、
総菜パンのフィリングを作る
など副材料の準備をする 。
16:00 作業が遅れてるポジションの
ヘルプをしつつ掃除。
17:30~21:00 終礼して上がり
💡上がりの時間は、シーズンによって大きく変動します
(詳細は次章にて)
翌日夜勤シフトの場合は、シャワーを浴びて、そのままホテルの仮眠室で仮眠。
★早番(夜勤)シフトの1日
(窯の場合)
01:45 出勤
オーブンの電源を入れる。
前日セットしたパンの
発酵具合を確認。
前日冷蔵発酵させた生地を
常温に戻す。
💡窯はオーブンの温度が上がるまで焼く作業を開始できないので、その間は冷蔵生地の分割をしたり、副材料の準備等をする。
02:30 オーブンの温度も上がり
パンを焼き始める。
05:30 この時間までに、朝食用の
パンの焼きと仕上げをすべて
終わらせる
💡ホテルの場合は、早くて6時から朝食ビュッフェがスタートするので、間に合うようにパンを仕上げる。
06:00 遅番シフトも加わり
朝のピークタイムに突入。
遅番シフトとポジション交代
折り込みのポジションに移る
06:00 クロワッサンやパイ生地の
折り込み作業を続け、合間に
成形や窯のヘルプに入る。
11:00 朝のピークが落ち着き、
クロワッサンの成形に集中
11:30 お昼休憩
11:30 翌朝のパンのセッティング
15:00 副材料の準備や掃除
16:30~20:00 遅番に引き継いで
上がり
💡上がりの時間は、シーズンによって大きく変動します
(詳細は次章にて)
シーズンで労働時間がばらつく
前述の1日の流れを見て頂くと、上がる時間に大分バラつきがあるのがわかります。
パン屋の繁忙期は、クリスマスです!
そして次に忙しいのがゴールデンウィーク
特にクリスマスシーズンの10~12月は、残業が100時間オーバーになるほど忙しいです。
(これでも、パティシエさんや個人のパン屋よりはマシです。)
ゴールデンウィークも、クリスマス程ではないですが、連日忙しく、残業時間でいうと月60~70時間程です。
ちなみに、パンが売れない夏場6~8月頃で残業40~60時間というイメージです。
「え、超働くじゃん!」
と思ってしまいますが、これでも、多くの個人店よりは、働きやすいと言えます。
なぜなら、
個人店の場合は平常時から80時間オーバーの店舗もザラです。
平常時でも1日14時間以上の勤務はあるあるです。
実際わたしもホテルで勤務してた5年間、個人店の労働時間に耐えられなくて、ホテルへ避難した先輩方を何人も見ました。
パン屋に限らず、コックさんやパティシエさんも。
…だとしても、
クリスマスというと、ケーキのイメージなのに、なんでパン屋もそんなに忙しいの??
と思う方もいるので、少し補足します。
パン屋が忙しい理由は、日本でも定番になってきた、シュトレンやクグロフ、パネトーネにパンドーロ等のクリスマスの発酵菓子の製造に日々追われるからです。
クリスマスの仕込みの準備は、店舗でもホテルでも10月頃からはじめます。
10月は主に副材料の準備をします。
具体的には、パンに使うフルーツの漬け込みやナッツのロースト、ナッツのカット、シュトレンの澄ましバター作りなど。
(有名リテールベーカリー等では、ドラム缶単位でフルーツを漬け込みます!)
とにかく量が多いので、この時期にやらないと手が回らなくなるのです。
そして、11月からパンの製造がはじまります。
クリスマス用のパンは長期保存のものが多く、冷凍もできるので、12月に入る前にストックを貯めます。
12月に突入したら、後はもう必死に作り続けます。通常業務(ショップやレストランのパン作り)も、クリスマスシーズンで割増になっているので、全体的に作業量がぐんと上がります。
製造業は、1日に必ず作り終えないといけない量が決まっているので、それが終わるまでは帰れません。
ホテルのつらいところは、お土産ショップやデパートの祭事で売る分に加えて、レストランや、ルームサービス用のものも仕込まないといけないところですね。
パン屋の忙しさは、クリスマスがピークで、夏場がオフピーク。
パン屋業界は長時間労働の世界ですが、その中でもホテルは比較的残業が短いほうです。
お休みは基本月8回
ホテルの場合は、基本的に月8回のお休み+有給です。わたしがいたホテルだと多くて月10回までは休めたし、夏休みも順番で取れました。
ただし、お休みを取れるタイミングが一般的な仕事と異なるので要注意
ホテルなので、みんなが休んでいる土日祝日・大型連休・クリスマス・年末年始は基本的に出勤です。
とは言っても、シフトで回しているので、クリスマス当日でも祝日でも、休んでいるメンバーはいます。
シフトについては、前の月に休日希望をだせるので、土日祝日でどうしても外せない用事がある場合は、ほぼお休みを取れます。
個人店やリテールベーカリーの求人を見ると分かるのですが、お休みが月5回や6回のところもザラです。
そう考えると、ホテルのほうがお休みの日数は補償されているので安心。
ホテルベーカリーが個人店・リテールよりもおすすめな理由
ここまでで、
「ホテルもなんだかんだ長時間労働で、結局きつそうじゃん」
って思った方も多いと思います。
でも、冒頭で記載したように、スキルアップしつつ長く働けて、かつ労働環境がいいのは、断然ホテルです。
「スキルアップしつつ」という条件を外せば、もっと働きやすいところはたくさんあります。
ということで、次はホテルベーカリーのおすすめポイントをお伝えしていますね。
シェフの技術力が高いので学べる
ホテルはご存じの通り、経歴、経験、実力のあるシェフがたくさんいらっしゃいます。
ベーカリーについても、多くのホテルは受賞経験があるひとや、有名店のスーシェフを務めたという方がほとんどです。
なので、上司はほぼほぼ正しいパン知識をもっている人なので、学べることが多いです。
大手チェーンの場合は、ドンク、神戸屋、メゾンカイザー、ロブション等パンの大会に出場したり、パンがおいしいという店舗、あるいは店舗ごとで仕込みから焼きまでを完結している店舗は、技術力を身に着けられる可能性が高いです。
でも同じチェーンでも、安価で量産のヴィドや大手チェーンのフランチャイズは、セントラルキッチンで仕込んだ生地や、出来合いのフィリングを使って焼いている場合がほとんどなので、スキルアップしたいのであればおすすめはできません。
個人店については、店長(シェフ)が有名な場合は、志が高い人がお店にあつまるので、技術力もアップできますが、たぶん一番労働環境がきついと思います。こだわりが多い分、作業量も多くなり、必然的に1日16時間労働が普通の世界になるのです。
とは言いつつ、やっぱりパンも職人の世界なので、基本は見てまねして、それでもできなかったら聞くという感じです。
普段の業務が忙しいので、丁寧に教えてくれる先輩は、ほとんどいません(もちろんロスが出ないように基本的な注意点とかは丁寧に教えてくれますが)。
疑問点やできないところは、自分である程度勉強や練習をしてから聞くがベストです。怒られることも多々ありますが、怒られるうちが花!と思って、がんばるのが一番いろいろ学べると思います。
製パン基礎が身に着けやすい
ホテルだと定番のパンを定番の製法で焼き上げるスタイルが多いので、そういう点で製パン基礎が身に着けやすいと感じました。
また、ホテル内のレストランで提供するパンは、味と見た目の美しさが要求されます。
高級フレンチやイタリアンのお料理と合うパンを作るので、均等で美しい成形技術も求められます。
ホテルのレストランだと、おいしければいいという訳にはいかないので、正しい成形方法を身に着けられるというのが大きなメリットです。
あと、パンと料理との組み合わせとかも意識するようになるから、知識の幅が広がりますよね。
このように、リテールベーカリーや個人店だと、パン単体で食べられる総菜系や菓子系が売れ筋になることが多いですが、ホテルだと食事系のパンを作ることが多くなるので、それも違いの1つですね。
外国のシェフとの交流
わたしは外資系ホテルにいたので、レストランの総料理長やシェフは外国出身の方でした。
国籍は、フランス、イタリア、中国、韓国でした。
パンは、それぞれのレストランで料理のおともとして提供されるので、必然的にコックさんやシェフと話す機会もあります。
また、それぞれのシェフがそれぞれの国のパンレシピを持ってくることもあるので、新しい発見もあります。
福利厚生や労働環境が整っている
大きいホテルほど、そして日系のホテルほど福利厚生が整っている印象です。
わたしがいたホテルは外資系でしたが、トップや経営陣が外国の方々だったので、有給消化だけはとても積極的な会社でした笑。
また、ホテル勤務だと、自社のホテルにちょっとだけ安く泊まれたり、食事をすることもできます。あとは、福利厚生もきちんとしているので、このあたりは個人店よりは安心です。
残業代については、ついたりつかなかったりです(某広告代理店の過労死がニュースになった年は残業代全部でて、お給料が1.5倍になったこともありました。)でも、最低でも30時間は付いていたので、普通の会社と同じでしょうかね。
普段の労働時間に関しては、日系ホテルの方が短いという印象を受けます(日系ホテルから外資系ホテルへ移動した先輩方の話を聞いた印象です)
よく言われているのは、日系ホテルのほうがキッチンが強いから、意見も通りやすく働きやすいということです。
外資系ホテルの場合は、サービス側が優遇されます。
サービススタッフは、お客さんと接する部署だし、ホテルはサービス業なので理解できますが、サービスが勝手にキッチン側に相談なしでOKして、キッチンが大変な目に合う、なんてことも多々ありました。
お客さんに「No」と言わないのが正しいとされる世界なので、しょうがないといえばそうなんでしょうが、万が一こちらで対応できなかったら(例えば希少な材料が必要だけどどうしても調達できない、そもそもそんなパン存在しない等)そっちのほうが、やばいのではと思うことも多々。
お給料がいい
求人を調べればすぐわかりますが、ホテルのお給料は、リテールベーカリーや個人店と比べたら断然いいです。
大手チェーンと同じくらいですかね。新卒だと残業代込みで手取り20万円くらいのイメージです。
個人店だとホテルより長時間労働で、手取り16万とかもザラですよね。
他の職業と比べるとパン屋のお給料は低くなりますが、パン業界内ではホテルはお給料も福利厚生も安心。なので、ご結婚された方とか家族ができた方がホテルへ転職することが多いのです。
試作が自由にしやすい
個人店の場合は、試作するときの材料費をお給料から天引きされることもありますが、ホテルだとそんなことはありません。
また、設備も一通りそろっているし、普段の作業が滞りないなら勤務中に試作しても全然OKです。ここはリテールベーカリーでも一緒ですね。
ただ、ホテルならではの良いところは、高級な材料を使える点です!
将来お店を開きたい人にとって、どんな材料が高価で、どの材料が高価ではないけど味は高価なものと変わらない、みたいな知識が重要だと思います。
ホテルでは、日々高価な材料を使うので色々作りながら味見ができます。また業者さんからサンプル(お手頃な価格帯の材料やフィリング)をもらうことも多いので、いろいろな材料を比較できるのがメリットだと思います。
材料や出来合いのフィリングの知識が広がることで、例えば
「カスタードは自家製で炊きたい、でもカレーは出来合いのものに野菜を少し足して使うのもありだろう」
といった工夫ができるようになります。
衛生に関する知識が身につく
日本で営業している星付き外資系ホテルは、従来から、HACCPという食品衛生管理手法に取り組んでおり、年に1回、衛生監査を実施しています。
ちなみに、日本では2020年6月からHACCP導入が義務化され、1年の猶予期間が終わった2021年6月からは「HACCP完全義務化」が全ての食品関連事業者に求められています。
(HACCPの内容はこちらのサイトがわかりやすいです。義務化については厚労省のサイトに詳細がのってます。)
監査内容としては、ホテルと関係ない外部機関の調査員が各ホテルに1週間ほど滞在して、衛生管理(材料の仕入れから最終製品の提供までの衛生管理)やホテルの設備管理・緊急時の対応等々を徹底的に調査し、各ホテルに点数をつけるのです。
この点数によって、ホテルの星の数が変動するため、非常に重要な監査となります。
また、HACCPについては、内部調査も月1回ゲリラ的に行われ、従業員もHACCPの試験や講習を定期的に受けるなど、徹底しているので、基本的な食品衛生に関する正しい知識が自然に身につきます。
HACCPに慣れると、その後リテールベーカリーや個人店で実施されている衛生管理が微妙すぎて、最初はびっくりしました。
こんな感じでは、ネズミもGも出ちゃうよね…と思いつつ、それが飲食店のリアルだとも思います。
パン屋に限らずファミレスでも個人店でも、食品と衛生って重要だけど、難しい。
ちなみに、わたしがいたホテルではGが出ると事件レベルで大ごとになり、出たレストランの壁を貼り変えてました。
個人店では、なかなかここまでの対策ができないから、どうしても衛生管理で偏ってしまいますよね。
ホテルベーカリーならではきついところ・デメリット
続いては、ホテルベーカリーならではのデメリットをご紹介します。
夜勤や泊りがある
前述の通り、ホテルでは朝食ビュッフェ用のパンを、早朝に焼き上げないといけないので、夜勤必須です。
わたしがいたホテルは、夜勤の出勤時間が終電後だったので、泊りシフトでした。でも、ホテルによっては、24時スタート等電車がある時間帯のシフトを組んでいるところもあるので、それだったら毎日家に帰れますね。
ちなみに、当時は週2回泊りシフトでした。家に帰れないのは大変だけど、夜勤だと早くて16時には上がれるので、夕方の時間を有意義に使えるというメリットがあります。
デメリットはやはり、生活リズムがバラバラになること。
シフトが遅番・早番の繰り返しなので、毎日起きる時間と寝る時間がバラバラになります。女子の場合は、生理不順になりやすく、体調管理が大変です。
年末年始が忙しい
できれば、おうちで家族とゆっくりしたい年末年始は、ホテルの繁忙期。
クリスマス後で、パン屋の業務はちょっとずつ落ち着いてきますが、年末年始は宿泊客が多いので、朝食やレストランのパンが増えるので、地味に大変です。
わたしも、5年勤務したうち2年間は、大晦日を仮眠室で過ごしました。ちょっと寂しいけど、職場もお祝いムードで賄いが豪華になったりするので、それはそれで楽しいです。
みんなの休日・世界の休日に働くから友達が減る
土日祝日・大型連休は基本出勤で忙しいので、急に遊びに誘われても行くことができません。
土日休みたい場合は、シフトが確定する1か月前に希望休を出さないとなので、遠い予定なら立てられますけど、融通がきかないのが悩ましいところ。
こちらがお休みの平日は、みんなが働いているので、どうしても付き合いがわるくなり、交流範囲が一気に減りました。
さらにいうと、ホテルには観光客が宿泊するので、日本だけではなく、世界の休日にも忙しくなります。
特に、イースターや旧正月は、日本のGWや日本のお正月休みと入れ替わるタイミングで来るので、地味に忙しい時期が続きます。
ただ、平日休みの良いところは、お買い物がしやすいとか、区役所とか銀行が空いている、あと旅行に安くいける等ですが、良し悪しですね。
まったくの未経験者は働けない
もし、新卒でホテルベーカリーに入りたいと考えている方がいるのなら、要注意です。
パン業界って基本的に、有名店ほど中途採用や経験者のみの募集となります。日々の業務が忙しいので、基礎から教える気はなく、即戦力が欲しいからです。
それでも、製パン学校の新卒なら受け入れてるというホテルが多いです。
なので、もし、あなたがパンの専門学生でもなく、バイトも経験したことないけど、パン屋の仕事に興味があるという場合は、専門学校に行くことも視野にいれていいと思います。
下記記事には専門学校にいくメリットをまとめているので、ぜひ参考にしてくださいね。

お客さんと接する機会が少ない
ホテルのキッチンは裏方で製造するので、普段はお客さんと接する機会がありません。
お客さんと話すこともまずないので、どのようなお客さんがどんなパンを買うのかといったことが把握しずらいです。
そのため、お客さんの反応はサービスのフィードバックになるので、モチベーションがちょっと下がることもあるかもしれません。
店舗経営については学べない
当たり前ですが、ホテルなので、お店の経営については学べません。
また、売れ筋もお店とホテルでは異なるので、将来開業したい人は、そこの難しさを感じると思います。学べるとしたら、原価計算とか材料に関する知識でしょうか。
また店舗経営もそうですが、ホテルと個人店では客層が違うのでお客さんのニーズも変わります。
ホテルでは、おいしいのはもちろん、製法や材料へのこだわりを前面に出して訴求します。あるいは、テレビの取材やシェフが受賞者ならそこでアピールしたりします。
日常使いというよりは、ご褒美とか贈り物需要が多くなります。
わたしも当時は、店舗経営に興味を持ち、個人店ってどんな感じかを知りたくて、ホテルを退社後には町場の繁盛店で働きました。
そのお店は、店長が趣味の延長でお店を開いて成功した、というお店でした。なので、製法や作り方を見て「???」と思うことも多々ありました。
でも、そのお店の客層と売れ筋が、サラリーマンやOLのランチ用のパンなので、カレー等のフィリングがたっぷり(パン生地の味より具が重要)で焼きたてのおいしいうちにお客さんは食べてしまう。
だから、製法のこだわり云々よりは安価・すぐ食べれる・具が多めのお惣菜パンが売れるんですよね。
お客さんとしては、おいしいものを食べたい。そしてそれが安いほどうれしい。さらに言うと、製法の違いによる味の違いなんて分からない、というのが本音ですよね。
製法にこだわりがあるもいますが、そういう人たちは色々調べてわざわざお目当てのパンを買いに行くような客層だと思います。
製法や原料にこだわるのもいいことですが、それがお客さんのためか自己満になるのか、そのバランスの難しさを感じました。
ホテルベーカリーのデメリットは、労働環境面でいうとお休みが世間の休日になること。
パン屋業務で言うと、個人店の経営が学べないのと、お客さんとの距離があることです。
なので、将来開業を目指すのであれば、ホテルで技術や対応力の幅を広げた後、自分が開業したいお店のイメージに近い個人店で働くというのが、理想だと思います。
働くなら星付きホテル一択
ここまでで、ホテルベーカリーがおすすめな理由をご説明してきました。
では、ホテルならどこでもいいのか?
と疑問に思った方もいると思いますが、ホテルならどこでもいいという訳ではありません。
個人的に勤務して思ったホテルで働く最大のメリットは、スキルアップのチャンスと整った労働環境が比較的両立されているという点です。
スキルアップできる環境選びは、リテールベーカリーや個人店でも一緒ですが、有名店や有名シェフがいるお店に行くことがベストです。
技術と経験がある人に教わるのが一番です。正しい技術や最新のパンの製法についても情報が入りやすいからです。
なので、ホテルの場合は、4つないし5つ星ホテルを狙うのが一番確実です。
普通のビジネスホテルだと、生地もパンも冷凍のを仕入れて焼いているだけの店舗も多いです、というかほとんどです。
今は冷凍パンの技術もすごく発達しており、きちんとリベイクすればとってもおいしいですしね。あと、ビジネスホテルに泊まるお客さんは、パンにそこまでおいしさを求めてないですよね。
ちなみに、5つ星ホテルでも、宴会や朝食ビュッフェの小さいロール系やリュスティック系のパンは、自家製ではなく外注のパンを利用している確率が、かなり高いです。
量が多いので、自家製では対応しきれないからです。
なので、ホテルのビュッフェにいって自家製のパンと思って食べても、実は違うこともかなり多いのです。商品カードに「自家製」が添えてなければ、ほぼ外注品です。
また、わたしの先輩が務めていたホテルの話も参考になると思ったので、お伝えします。
彼が務めていたのは、夢の国のホテルで、そこで提供するパンを日々焼いていました。
そこではキャラクターのパンをひたすら焼くだけで、作業も完全分担制であそびがなく、なによりキャラパンメインなので、他のパンに関する技術が1個も身につかないということでした。
それで彼は星付きホテルへ移動したとのこと。
なので、ホテルは星付きを狙って、応募するさいも業務内容・守備範囲(どこまで自家製なのか)をきちんと聞いてから応募するのがおすすめです!
ホテルベーカリーに就職するには
基本的には、狙ったホテルのHPの求人ページを見るのがおすすめです。あとは、製パン専門の求人サイトの活用がおすすめ。
具体的には、次の3つのサイトを活用するのがいいです。
- スイーツネットジョブ
定番で王道な求人サイトです。わたしもお世話になりました。 - グルメキャリー
こちらは、飲食業界全般の求人サイトですが、ホテルベーカリーの求人も掲載されているので、要チェック。 - Patissient
パティシエ・パン職人向けの求人サイトです。新卒と中途対象のサイトなので、正社員の働き先を探すのに最適です。 - Bake job by Tomiz
製菓・製パン材料や道具を販売している富澤商店の、製菓・製パン・カフェ業界専門の求人サイトです。使いやすく、詳細設定もでき、あわせて活用したいサイトです。
また、もしこの記事を読んでいる人が、学生さんの場合は、製パン学校を卒業してからパン屋の正社員になるのがおすすめです。
前述のように、ホテルでは基礎的な知識を求められるので、まったくの未経験者ではまず応募資格すらない場合がほとんど。
製パン学校に行けば、好条件の求人情報もゲットできる確率が上がるので、おすすめです。
興味のあるかたは、下記の記事もぜひ参考にしてくださいね。

まとめ
本記事では、パン屋の正社員で、スキルアップしつつ長く働ける職場として、ホテルベーカリーがおすすめの理由をご紹介しました。
将来パン屋としてどんなキャリアを目指すにしても、最初に製パン基礎と技術を身に着けるのが重要です。
技術を身に着けるのも大事だけど、長く働くためには、労働環境も大事。そういう視点から、ホテルベーカリーが一番バランスが取れて働きやすいと個人的に思います。
一度しっかり基礎を身に着ければ、他の店舗に行ってもしっかり働けるし、製法や商品についての比較もでき、応用の幅を広げることができますよね。
本記事を読んでくださった方にぴったりの働き先が見つかることを願っております!
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